お知らせ

1. 石綿（アスベスト）とは？

石綿（アスベスト）は、過去に建材として広く使用されていた素材で、特に耐火性・断熱性・耐久性に優れていたため、1970年代〜1990年代初頭にかけて多くの建物で使用されていました。しかし、石綿の繊維を吸い込むことで肺がんや中皮腫といった健康被害を引き起こすことが判明し、日本では2006年に全面禁止されました。ただし、2006年以前に建てられた建物には、いまだに石綿含有建材が使用されている可能性があります。

2. なぜエアコン工事で石綿調査が必要なのか？

エアコン工事では、室内機や室外機の取り付け・交換、配管の穴開け、ダクトの設置・撤去といった作業が発生します。これらの工事では建材に手を加えることが多く、特に以下のような場面で石綿が含まれている可能性があります。

• 天井・壁の穴開け作業
  古い建物では、石綿を含む吹き付け材や石綿含有ボードが使用されていることがある。
• ダクト・配管の撤去・設置
  ダクトやパイプの保温材に石綿が含まれているケースがある。
• エアコン室外機の設置場所（屋上・外壁）
  外壁の耐火被覆材に石綿が含まれている可能性がある。

このような建材を削ったり壊したりすると、石綿が飛散する危険があるため、事前にしっかりと調査を行うことが求められています。

3. 2022年の改正労働安全衛生法による規制強化

2022年4月から、建築物の解体・改修工事において「石綿事前調査」が義務化され、一定規模以上の工事では 有資格者による事前調査報告が必要 になりました。

対象となる工事

• 建築物の解体（80㎡以上）
• 改修・リフォーム（請負金額100万円以上）
• 特定の工作物の解体・改修（煙突、橋梁など）

エアコン工事自体は「解体・改修工事」の範囲に含まれる場合があります。特に、大規模なエアコン工事（業務用エアコンの入れ替えや、大型施設の空調工事）では、この事前調査が必要になるケースがあるため、業者としても規制を理解しておく必要があります。

4. 石綿事前調査の流れ

エアコン工事に関わる場合、以下のようなフローで石綿調査を進めることが重要です。

1. 対象建物の確認 　建築年を確認し、2006年以前に建てられた場合は、石綿含有の可能性を考慮する。
2. 設計図や仕様書のチェック 　建物の図面や使用建材の情報を調査し、石綿が使われている可能性があるか確認する。
3. 目視調査 　天井材・壁材・配管・ダクトなどに石綿の疑いがある建材がないかを目視で確認する。
4. 専門家による分析調査（必要に応じて） 　目視だけで判断できない場合、石綿調査専門の業者に依頼し、分析を行う。

5. エアコン工事業者が注意すべき点

• 事前調査の義務を認識する 　規模によっては「石綿含有調査報告」が必要になるため、工事発注者や元請け業者と相談し、適切に対応する。
• 勝手に削ったり壊したりしない 　石綿含有建材の可能性がある場合、無理に削ったり壊したりすると法律違反になるだけでなく、健康被害のリスクがある。
• 保護具を着用する 　古い建材に手を加える際は、防じんマスク（国家検定合格品）や防護服を着用し、粉じんを吸い込まないようにする。
• 産業廃棄物の処理を適切に行う 　石綿含有建材を撤去する場合は、適切な処分方法（特別管理産業廃棄物として処理）を守る。

6. 今後の対応策

石綿問題への対応は今後ますます厳しくなっていくことが予想されます。エアコン工事業者としても、事前調査の流れを理解し、適切な対策を取ることが重要です。特に、大型施設や古いビルの空調工事を請け負う場合は、元請けや発注者と連携して、石綿リスクを適切に管理すること が求められます。

また、今後の事業展開を考えるなら、「石綿調査を理解しているエアコン業者」としてのアピールも有効です。新規案件獲得や協力業者との関係強化にもつながるため、積極的に情報を学び、実務に活かしていくことが大切です。

 

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